• テキストサイズ

【HQ】黒猫の足跡

第8章 黒猫、赤く染まる



「え…ッ……は、ハイ。」

驚いて、ベッドの端へ後ずさると壁に背中がぶつかった。囁かれた声が低くて、でもやっぱり優しくて。心臓バクバクいってるのが自分でもよく分かる。多分顔も、赤い。つい俯くとぎしりとベッドのスプリングが軋む音がして、顔を上げたら鼻先がぶつかりそうな程の至近距離。顔の横は腕が逃げ道を塞いでいて。射抜くような瞳に目も逸らせない。

「赤葦くん…?」

「まだ安心して俺と寝れると思いますか…?」

「う……む、無理…デス…。」

口を開けばお互いの吐息が顔に掛かる距離に私の思考はショート寸前だった。確かに、これじゃあきっと安心して寝ることは出来ない。私の心臓がもたないだろうし。
赤葦くんは、満足そうに頬を緩めベッドから身体を退いた。そして部屋の扉に手を掛け、出ていく寸前で挑発気味に瞳を細める。

「もっと男に対して警戒した方が良いですよ、さん。」

*黒猫、赤く染まる*

(あれ、あかーしと寝るんじゃなかったのか?)

(断られてしまいました、残念です。)

(お前絶対なんかしたろ。)

(……俺の幼馴染にあんまちょっかい掛けんなよ赤葦。)
/ 107ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp