第8章 黒猫、赤く染まる
今、家には野郎が4人。女子、私1人。雷は止んだ。けれど、変電所直らず。さっきから消防車のサイレンが凄い鳴り響いてる。
私は台所に立ち、もしもの時の為買っておいたレンチンで食べられる米を取り出し合計4つ、レンジに掛けた。男共は呑気にリビングで雑談してやがる。手伝えよ。なんで私が五人分のご飯を作らなきゃならないんだ。しかも育ち盛りの男の。
「それでさァ、木葉がまた別の女の子に告白してフられてよー!俺その光景見ちゃってさー!!」
「うわー、気まずいなそれ!というかこの前もフラれてなかったっけ?」
「悪い人では無いんですけどね。」
「そう言う赤葦はモテそうだよなー。告白とかあるの?」
「……はい、まぁ。」
「マジで!?あかーし告白された事あんの!?」
「何ですか木兎さんその反応。失礼でしょ。」
「だって俺あんまり告白とか…されねえ…大エースなのに…。」
「木兎、お前女の子の前でもうるさいからじゃないのー?」
「そ…そんなことねーし!そう言うお前はどうなんだよ黒尾!」
「俺?告白されまくりですけど?」
「腹立つわー…。」
「でもにゾッコンだもんな?黒尾は。」
「夜久ちょっと黙りなさい。」
聞こえてっから。ダダ漏れだからアンタ達の会話。
中華鍋に油を注ぎ冷凍のミックスベジタブルを大量投入して、さらに切った鶏肉を突っ込んで炒め、適当に塩と胡椒で味付けてから更にレンチンした米に加えあらかじめ炊いておいた大量のご飯を突っ込み、鍋を揺すり強引に混ぜ合わせる。いい匂いしてきた…。ケチャップのキャップを開きどぱどぱ投入してると、話飽きたのかお腹空いたのか、クロが台所へとやって来る。
「何?まだ出来ないよ。」
「わかってるって。なんか手伝うか?」
「じゃあサラダだけ作っておいてくれる?レタスときゅうりがあるから、適当に切って盛り付けて。」
「へーい。」
隣のスペースでクロが冷蔵庫から野菜を取り出しサラダの準備へと取り掛かる。その横で私は、炒め終わったケチャップライスを大皿にパパッと取り分け新しく大きなフライパンを取り出し、上に掛ける卵を焼くことにした。小さなボウルに卵を8個割り、チョットだけマヨネーズを加えて溶きほぐす。こうするとトロットロになるんだよね。