第7章 黒猫、飛び上がる
「どうしたー?あかーし。」
「木兎さん、俺らが乗る電車止まってます。」
「何!?人身事故か?」
「いえ、ここから最寄りの変電所トラブルで停電。」
表情一つ変えずに答えた赤葦くん。それってまずくない?変電所トラブルって。そんなことあるんだ。雷だから…?
「それ復旧すんの?してもすげー遅くなりそうだな…。つーか俺も帰れねえ!」
「あーあ…どうすんのお前ら、どっか飯屋にでも入る?」
夜久ちゃんと木兎、赤葦くんは黙って顔を合わせた。そしてしばしの無言の後その瞳は、徐に私とクロへと向けられる。うわ嫌な予感。その期待に満ち満ちた目を辞めてほしい。
「ヘイヘイへーイ!そもそもお前ら今2人で住んでるんだろ!?」
「却下。」
「まだ何も言ってねーよ!」
「なぁ、今日泊まってっちゃダメ?」
「夜久!いいわけないだろこれでもは女だからな!?」
「別に手なんて出さないって。黒尾じゃないんだから。」
「俺もまだ出してねーし!」
「「「まだ。」」」
静かな筈の道中で、ギャンギャン騒ぎ出す赤葦くんを除く男共。もう勘弁して欲しい。額に指先を置き半ば呆れ気味に声を発しようとした瞬間。背後で再び雷鳴が轟いた。私の恐怖心は最早最高潮に達し思わず、叫ぶ。
「もう全員泊めてやるから、早く帰ろう!!!!」
*黒猫、飛び上がる*
(ヘイヘイ、お前なんでそんなに雷が怖いんだ?)
(小さい頃雷が近くの木に落ちて裂けてた)