第16章 静かになった家で
コンコン。
「ん?」
そこまで大きくはないけれど、玄関がノックされる音が聞こえた。
インターホンに反応はないし、覗き穴にも何も見えない。気のせいかなぁと思いながら玄関を開けると、フクロウのような丸い機械が地面に落ちていてびっくりした。
「なんだろ、これ……」
と持ち上げてみると、クチバシのところに一枚の大きな葉っぱ。何か見覚えがある気がしてその葉っぱを手に取ると、途端にフクロウの機械は飛び立って、あっという間に空へと消えた。
なんだったんだろうと思いながら手にした葉っぱを見てみると、そこには黄色い頭に赤いキノコが描かれた誰かの顔があって私は気づいた。
キノコ人たちからのメッセージだ。
私はすぐに仕事用の服に着替えた。最近記者としての仕事が減っていて、自分には才能がないのかな、なんて思い始めていたけれど。
まだ、やりたいことがあるんだ。
私は取材をしに行く準備をした。きっと場所はあの山だ。もうMOBの楽園は出来たのだろうか。私は、編集長に連絡した。
しばらく、密着取材に行ってきます。
私は、自宅を飛び出した。
おしまい