第17章 結婚式
統也さんの執着が酷い。そして、変わらず私の統也さんへの執着も同じ。どうして、あんなにカッコいいんだろう。綺麗な人たちに言い寄られてヤキモキした時もあったけれど、いつだって統也さんは私に執着した。
そして、今日は待ちに待った結婚式。
女神様の力で、問題なく式を行えることになった。家族は・・・うん、大丈夫みたい。お母さんなんか、イケメンの統也さんにメロメロだ。気難しいお父さんやお兄ちゃんにも、上手く懐柔しては仲良くなってくれている。
この村は統也さんの出身だと言うことになっている。式の間、私の事は記憶から消して貰った。
少々、村にしては豪勢な建物で厳かに行われた式はエフェクトもあってより一層神秘的だった。お母さんがウットリとしていた。
まさか、この世界でこの住人たちに祝われて結婚式を行えるとは思ってもみなかった。すごく幸せだ。キラキラした光の筋がステンドグラス越しに私たちに降り注ぐ。
統也さんから、誓いのキスをされてから私の涙が止まらない。そんな私を優しい眼差しで見つめてはハグしてくれる彼に、私の幸せな気持ちは上書きされていく。
そう言えば、どうしてもというので初めて私は統也さんと町へと出向いた。ある建物を見て、首を傾げている。
「どうかしたんですか?」
「・・・俺がっ!!?」
急に統也さんに抱き付いて来たのは、見知らぬ女性。背中には、赤ちゃんをおんぶしている。
「ニア・・・。」
「帰って来てくれたの?そうなんでしょ?ずっと、私のこと好きだったんだものね。」
統也さんは、その女性を冷たく突き放した。
「お前を好きだったことは、一度もねぇよ。親方がどうしてもって言うから、婚約しただけだ。」
「そんな・・・。」
「遠いところに移住する事になったから、最後の見納めに来ただけだ。」
「そ、その女は・・・。」
「俺の嫁。」
「浮気してたの?」
「お前と一緒にすんな。出会って間がないけど、俺が心底惚れ込んだ唯一の女だ。もう見納めは終わったし、じゃあな。」
統也さんは、私の手を引いて歩きだした。
「トーヤさん、私を助けてよ!!いつも、仕方ないって言って私を助けてくれていたじゃない。ねぇってば!!」
最後まで、統也さんは歩みを止めなかった。列車に乗り込み、村へと戻る。