第11章 夏 一日目
「どんなサクラでも、可愛いよ。」
低く甘い声が私の思考を鈍らせて来る。
「あ、あのっ・・・。」
「ん?」
「トーヤさんは・・・物足りなかったですか?」
「いいや?ただ、可愛い俺の女を抱きたいだけ。」
もう、ダメだ。何を言っても勝てそうにない。
「可愛いサクラを抱いて、一緒にシャワー浴びて一緒に寝る。あぁ、勿論・・・お互いに全裸で。」
「ぜ、全裸?」
「着ようとしても、俺が脱がせるけどな。」
もう何か、何もかもがなし崩しだ。
この日の夜は、大好きな人に抱き潰され思考回路もショートさせられてしまった。
「何で、離れて寝ようとするんだよ。」
背後から抱き寄せられる。彼の腕が回され、引き寄せられられば首筋に彼の唇が這う。そして、もう片方は私の下半身をまさぐりだして・・・。
「そっちに向いて寝るのなら、サクラの中・・・入れてしまおうかと思っているけどどうする?」
「わ、分かりました。」
トーヤさんの方に向きなおすと、甘い目が私を見ていて腰に腕を回され抱き寄せられた。
「うん、サクラの柔らかい胸が俺の身体に当たってゾクゾクする。よく寝られそう。」
そんな卑猥なセリフを吐くのに、よく寝られそうだなんて・・・。あ、寝るの意味が違う?
「冗談だ。でも、これからはこうやって寝ような?喧嘩しても、別室で就寝だなんて却下だから。そんな事になったら、間違いなく「そんな事言いませんからっ!!」」
「それならいい。あ~、ずっと生殺しだったから、これからが楽しみだな。やっぱり、惚れた女抱くの止められそうにないし。ま、止める気も無いけど。サクラの身体、スベスベで肌触りいいよな。」
「ト、トーヤさん・・・手付きが怪しいです。」
「俺はサクラにしかこういうことをしないし、しようとも思わないから。だから、俺を受け入れろ。まぁ、直に・・・俺に抱いてくれって言わせる様にするけどな。じゃ、おやすみ。」
えっ、言い逃げですか。私、そんな言葉言わされるの?でも・・・今日一日、本当に幸せだった。