第11章 夏 一日目
「なぁ・・・それ、ちょっと露出が激しくないか?」
そう言われたのは、新調した私の水着のこと。人生で初のビキニを着てみた。そう、夏になったので近くの川で水遊びをすることになったのだ。
「似合ってません?」
「いいや、残念なことに凄く似合っているから余計に気になるんだけど。」
「どういう意味ですか?」
「あ~、似合い過ぎて俺以外の男に見せたくないって言うか・・・。」
「他の?それなら大丈夫ですよ。ウチの畑からプライベートビーチじゃないですけど、私たちしか入れませんから。」
住人が集まり遊ぶ河原もあるけれど、私は敷地から行ける場所で遊ぶつもりだ。
「そうか、俺たちだけか。それならいい。」
トーヤさんと二人で、川遊びだ。毎日上半身裸体だから見慣れてはいるけれど、やっぱり引き締まったいい体をしている。
「で、そのバスケットの中身は何だ?」
「お弁当です。火を焚けるところもあるんで、そこでバーベキューもしようかなと思っています。焼トウモロコシ美味しいんですよ?後は、川でメロンを冷やして食べましょうね?」
「いや、普通はスイカじゃないのか?」
「トーヤさんが言うなら、そうします。」
「・・・あ、いや、メロンでいい。」
スイカのサイズを思い出して、メロンでいいと言ったトーヤさん。ウチのスイカのサイズは大きい。二人では食べ切れない。
今朝は、夏の一日目。故に、夏の作物の種蒔き三昧だった。トーヤさんも手伝ってくれて、後は栄養たっぷりのスプリングクーラーの水やりで問題ない。
川辺に降りて、私が先ずやったことはバーベキューの用意。メロンを冷やしてから、ランチ用に食事の準備だ。プリプリのソーセージや叉焼に野菜が刺さった串焼きなど網の上で陳列していく。
「あ~、食欲をそそる匂いだな。」
食材が焼きあがっていくと、トーヤさんに渡した。
「ありがとうな。いただきます。・・・んっ!?この焼トウモロコシ美味いっ。」
「どんどん食べてくださいね。」
「ん?それは?」
「ジャガイモのバターホイル焼きです。」
ジャガイモと一緒に、ベーコンを刻んだものも入っている。その香りが一面に広がり食欲を更にそそらせていく。
腹八分目で終わらせてから、水遊びだ。川に入れば、浮き輪に捕まって身を任せる。