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牧場物語へトリップⅡ

第10章 春 三十日目


今日は朝からバリバリと畑仕事をしているサクラ。夏野菜を栽培する為に、春の作物を収穫している。ビニールハウスの中は季節を気にしなくていいものの、とんでもない作物の量に眩暈を覚える。

あんな華奢な身体をしているのに、あのバイタリティーの源は何なんだろうな。嫌、俺の為って言いそうだ。すっかり餌付けをされている自覚はあるし、このまま囲い込もうかと思う辺り既にサクラに惚れ込んでしまっている。

あんな過去があったけれど、もしここでサクラが心変わりをしたのなら、きっと原因は俺にあるのだろう。多分、俺が悪い事をしでかしたのだと思える。相変わらず俺が大好きで、俺に尽くしてくれるからサクラに非はないだろうから。

「トーヤさんだよな?」
「ん?あ、あんたは工芸屋の・・・。」
「あぁ、ナオトだ。今日は相談があって来た。」
「相談?そうか。じゃあ、そこに座ってくれ。飲み物でも持って来る。」
「分かった。」

サクラが用意してくれる果実水を、ナオトに振舞う。

「んっ、美味いな。サクラとは上手くやってんだな。」
「ん?あぁ、そうだな。」
「いい子だよな、サクラって。あ、誤解するなよ?俺には可愛い嫁がいるからな?」
「知ってる。先日のイベントで優勝してたよな。」
「そうなんだよ。」

嫁大好き旦那の惚気を聞かされた後、商売の話しとなった。ナオトは工芸品の中に宝飾を使いたいと言って来た。コラボ商品を作りたいらしい。俺としては、頑張りたい状況だから了承の返答をした。

「そうだ、店で展示してあるあのネックレスを購入したい。近々、嫁の誕生日があるんだ。」
「そうか。今回の提携の記念に、色付けておく。」
「恩に着る。あ、そろそろ時間だよな。作物収穫イベント行くんだろう?」
「あぁ、その予定だ。」
「なぁ・・・サクラのこと、大事にしてやってくれな?俺が言うのも変だけど。」
「サクラを傷つけたら人として終わってる事は理解しているから。サクラから見限られない限り、俺からは悪い様にはしない。これでも、可愛いとは思っているからな。」
「そうか。まぁ、やっかみはあるだろうがそんなの蹴散らせばいい。サクラは、ずっとトーヤさんを好いていたからな。」

住人の何処までが、俺への気持ちを知っているのやら。サクラが住人たちから愛されているのが伺える。

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