第8章 春 二十一日目
お昼からは採掘。六日ぶりである。
「今日は何が採掘出来るかなぁ。トーヤさんは、何の原石が欲しいですか?」
「俺?そうだなぁ・・・一先ず、プラチナだな。あ、それとダイヤモンドは外せないけど難しいだろうな。」
「う~ん、せめてそのどちらかが採出来れば・・・あ、いえ、そう言えば家にありますよ?」
「知ってる。何がいいかって聞かれたから、そうだ答えただけ。俺も初めてだけど採掘やってみたいし何か採れればいいなと思ってる。」
二時間後、盛大に項垂れるトーヤさんがいた。
因みに今日の成果。
賢者の石二個。ダイヤモンド五個。サファイア二個。プラチナ五個。ルビー三個。金二個。水晶三個。エメラルド二個。めのう三個。大量である。
「サクラの採掘能力、一体何なんだよ。それに、品質が最高って・・・。これじゃ、ストーンもサクラを重宝がるわ。なぁ、サクラ。幾つか買い取らさせてくれないか?作りたいものがあるんだ。って、おいおい。全部寄越そうとするな。」
「え、でも・・・家にもありますから。」
「知ってる。知ってるけどそういう事じゃない。俺が悪いヤツだったらどうするつもりだったんだ。」
「フフ、悪い人だったら、もっと採掘頑張ります。」
「おい・・・頑張るところが違うだろ。って、そんなキラキラした目で俺を見るな。」
呆れた様な目でトーヤさんが私を見る。
「俺の為なら、何だって差し出そうだな。大丈夫だ、俺は自重出来る大人だからな。でも、ありがとな。少しサクラの事が心配だけど、俺は情けない男になるつもりはないから。・・・だから、そんなキラキラした目で俺を見るな。」
家に戻るなり、トーヤさんが必要だと言った原石を渡してから残りは賢者の石以外全て出荷することにした。どうやら、ストーンさんのお店の品揃えが寂しいらしい。
「それで、トーヤさんは何を作るんですか?」
「ん?可愛い彼女を彩るものは、これからは俺が作るから。その為の第一弾。いつかは、サクラの指全部に指輪を作ってやる。」
何か、闘志を漲らせているトーヤさん。指十本は遣り過ぎだと言ったのだけど、何か圧のある笑顔で却下されてしまった。でも、トーヤさんが作ってくれると言うのなら甘んじて受け取ろうと思う。