第6章 春 十五日目
「キャベツ・・・グスッ・・・こ、小麦・・・グスッ・・・綿・・・。」
受け入れられるなんて、最初から無理なのは分かっていた。それでも、ずっと好きだった。どうしようもなく胸が痛い。
この日を境に、私は敷地から外へ出ることは無くなった。
畑で土いじりをして、機材を使って加工をする日々。それでも、時折、涙が溢れて来ては止める術もなく流すだけ。
「ねぇ、女神様~ボクたちの可愛いサクラが泣いてる~」
「サクラが泣いていると、ボクたちも悲しいよ~」
「ウエ~ン、サクラ泣かないで~」
「アラアラ・・・そうねぇ~、私たちの愛し子が泣いているのを見過ごす事は出来ないわねぇ。どうしましょう・・・。」
子供の泣き声が響き渡る。
「貴方たちもそんなに泣かないでよ。私も悲しくなっちゃうじゃない。」
「あの男、町に返す~」
「あの男、村にいらない~」
「あの男、サクラを虐めたから排除しよう~」
「ちょ、ちょっと待って。あの者にも、事情があるの。もう少しだけ待ってあげて。」
「もう少しって一時間後~?」
「そ、それは早すぎるわね。」
「じゃあ、明日~?」
「そ、それも早すぎるわ。」
「じゃあ、五日くらい~?」
「そうね、それくらいかしら。」
「「「女神様、それ以上過ぎたらボクたちが懲らしめるからね~」」」
「何で、そこだけ一致団結しているのよ。でも、大丈夫よ。きっと。・・・たぶん。」