第5章 春 十日目
~ 女神様 ~
「今年初めてのお祭りも成功だったわねぇ。」
「女神様~、サクラのハムステーキ美味しかったね~」
「お供えしてくれたんだよね~」
「ボクは、あのアメリカンドッグが美味しかった~」
子供の声が楽しそうに騒ぎ立てている。
「私は、あのチェリーワインがとても美味しかったわ~」
「そうだ~、あの男のことだけど~」
「ボクたち、見て来たよ~」
「お局様っていう人に~扱かれていたよ~」
その頃の男は・・・
「ハ、ハックションっ!!ブフェックションっ!!ブシュっ、ブシュ、ブェックション!!」
「おい、お前・・・体調管理が成ってないんじゃないか?」
「す、すみません・・・。」
「今日はもういいから帰れ。」
「分かりました。お先に失礼します。」
外へ出ても、男のくしゃみは止まらなかった。
「あら、田中くん。今日はもう終わったの?」
「あ、えっと、その・・・はい。」
「じゃあ、この後付き合いなさい。一杯引っ掛けたかったのよ。」
「えっ、でも・・・。」
「何?私の言うことが聞けないって言うの?」
「わ、分かりました。」
「最初からそう言えばいいのよ。仕事も愚図だし、決断力も無い。私が扱いてあげてんだから、有難く思いなさいよね。」
「は、はい。」
「なんて事が、あったんだよ~」
「自業自得~」
「アハハ、右に同じ~」
「その妙齢のお姉さまに任せたらいいのかしらね~」
「異議なし~」
「ボクも~」
「右に同じ~」
散々付き合わされた結果、男が目覚めた場所は・・・妙齢のお姉さまの自宅のベッドの上だった。
着の身着のままその場から逃げ出し、自宅に逃げ帰った男。
「うげっ、何だよこのキスマーク・・・あのババアにやられた?親と歳が変らねぇってんのに、何なんだよ。あのババアの性欲。あんなババア相手に三回もだなんて俺も何やってんだ・・・。どうせなら若い女と遣りたかった・・・。」