第4章 VI * アルミン・アルレルト
「大丈夫ですか?腰…、痛くないですか?」
ふいに掛けられた声に少し驚いてしまった。
声の主を振り向いてみると、は更に驚愕することとなる。
金髪碧眼の美少年…、まさに天使がそこにいた。
『あぁ…ここは天国?やっぱり私は死んだの?』
「…天国?……生きていますよ?」
『そう…、変な事を言ってごめんなさい。あまりの尊さに気が動転したようです』
「だ…大丈夫ですか?頭とか…どこか打ちつけたりは?」
『痛みはないので恐らく大丈夫です』
「そうですか、良かった…」
天使による束の間の癒やしタイムも、目の前に聳える数十メートルはありそうな壁を見れば吹き飛んでしまった。
まるで隔離された巨大な要塞や、お城でもありそうな雰囲気だ。
それにこんな高さの城壁など見たことがない。
あっという間に壁の門を潜り、を乗せた荷車は先を進む。
一応は保護をされたけれど、自分はどこに連れて行かれるのか。
気分はドナドナドーナドーナだ。
食べられたりはしないと思うけれど、悪いようには………ならないと思うよと分隊長の言葉を思い出す。
平に平にと願うばかりであった。
2個目の門を潜ると、荷車の速度はだんだんと緩やかになっていた。
道の両サイドを大勢の人々が埋めていた。
さながら凱旋パレードのようだ。
しかし耳に届いた声は、聞くに耐えない罵声だった。