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【HQ】短編小説

第3章 R18ゼロの距離(黒尾)



「黒尾ー、今日部活休みなんでしょ?」

「あー?まぁな。」

「じゃあ今日私の家寄ってってよ。」

「…今日は俺の気分、ってか?」

「ちゃーんと放課後迎えに来てよね。」

「ハイハイ。」

なんて会話をしたのが、昼休み。今は約束の放課後であり、の教室前。丁度ホームルームも終えたらしく生徒達がゾロゾロと出てきた。

「お待たせ黒尾。じゃあ帰ろうか。」

「あぁ、そうだな。」

徐に手を差し出すと、はキョトンとした目を向けてくる。繋げ、って意味なんだけどな?

「手、出せよ。」

「…ん。」

意味を理解したから差し出された手に指を絡め握り込む。小さい手。やる事やってるクセに、こんな事で顔赤くするんだからズルイと思うわ…。
もう幾度と通ったの家までの道程。傍から見たら完全に恋人に見える筈なんだけど。そういうワケでもないからこの距離がもどかしい。

「最近バレーどう?もうすぐ春高予選でしょ?」

「夏にいい合宿も出来たしな。今年は全国に行く。何なら見に来れば?」

「え、良いの?」

「当たり前、ダメなんて言うわけないだろ。」

「そっかー、じゃあ見に行こうかな。」

他愛の無い会話をしながら歩いてるといつの間にか到着したの家、高いマンションの3階、一番奥の部屋。家の鍵を鍵穴に差し込み捻るとその扉を開く。

「入って。何か飲む?」

「じゃあお茶で。」

「わかった、部屋で待っててよ。」

「ハイハイ。」

促されるまま玄関で靴を脱ぎ、何度も来たアイツの部屋へと向かった。相変わらず綺麗で、女らしい。ほんのり甘い匂いがするのは多分、アロマだろ。学校の鞄を部屋の隅に置き低いテーブルと、ベッドの間に座る。ぼんやりと部屋を眺めていると程なくは戻ってきた。トレーには氷の入ったグラスが2つと麦茶のペットボトルが1本。それをそのままテーブルへ置き俺の隣に座る。

「一応私達三年生なわけだけど、黒尾は部活やってるでしょ?受験は大丈夫なの?」

「僕はちゃんと勉強しているので。お前は大丈夫なのかよ、日替わりで男連れ込んでて。」

「日替わりじゃないよ失礼な!2週に1回か2回位よ!」
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