第2章 すれ違い(及川)
「オレの事、もう徹って呼んでくれないの?」
「ッ…!!私の事、覚えて…」
「当たり前でしょ。先輩の目にはオレがそんな薄情な男に見えるのかなー?」
「だ…だって、仲良かったのなんて何年も前の事だしこっちに入学してからも全然、話さなかったし…」
「それは…まぁ、会いに行くの迷惑かなって思ってたし、先輩に恋人なんか出来てたら、って思ったらちょっと行きづらかったし、さ…。」
困ったように頬をかく。ずっと徹が好きだったのに、恋人なんて作れるわけないじゃない。
「…そうそう、変わったこともう一つ。」
「な、何…?」
「すげー、可愛くなったね。」
「は……。」
「初めて体育館来た時、ビックリした。やっと会いに来てくれたのかな、って嬉しかったんだよ。でも、友達に連れて来られましたーって感じだったし全然声掛けてくれないし、オレの方が忘れられてんのかなって思ってたんだけど?」
「う…。」
「オレさ、にずっと会いたかった。」
「お、及川くん…?」
「青城に居るって、知ってたんだよねー、オレ。バレー部に、宇久馬先輩っているでしょ?あの女たらし。あの人から聞いた。」
「うん…いや、及川くんに言われたくないと思う。」
「一言余計だよ!でもオレから会いに行くの、なーんかシャクだったし?が話し掛けに来てくれるの待ってみようかと思ってたけど…限界。いつも、部活の時近くに居るのに話せないってなんの拷問かと思ったよ。」
「ごめ、ん?」
「…というかさ、って絶対鈍いよね。」
「い、いきなり失礼ね!」
「ここまで言ってるのに、気づいてないでしょ。」
「だから何よ…!」
「だーかーら…」
*オレはお名前の事、ずっと好きだったんだけど。*
(え……え!?)
(ほら、鈍感じゃん。)