第1章 放置プレイはほどほどに
この本丸の外観もそうがだ、思っていたより深刻な状況なのかもしれない。
さっき薬研が当たり前のように、この2日碌に食べてないって言ってたけど……もしかして私の所為だろうか?
「その通りですよ」
「うわっ!!びっくりした!!」
いつの間に移動していたのか、誰も居ないと思っていた暗がりから、こんのすけが姿を現した。
って言うか、人の胸の内を読み取るとはこのキツネ、なかなか気が置けない。
そんな事はお構いなしとばかりに、こんのすけはキツイ視線を浴びせてきた。
「お気づきになられたかと思いますが、彼ら刀剣男子達は付喪神。その力を司っていた審神者の貴女がいなくなったらどうなるか……」
「フム……つまりは魔力供給が出来なくなったマスターとサーヴァントみたいなものか」
「変な例えをしないで下さい!Fa/te信者にしか分かりませんよ!」
「え!?本当に大丈夫?魔力供給と称して無理やりセッ〇スとかさせられない?」
「まあ、どうしてもと言うならそういう方法も無くはないのですが……」
「あるんだ!?」
それはそれで色んな意味でショッキングな情報を仕入れつつ、薬研を待っていると、廊下の向こう側から明かりが近づいてきた。
今は夜だから暗いのが当たり前だと思っていたが、そう言えばこの本丸、明かりすら碌に無ぇよ。
こんなオンボロ本丸にしたのが自分だと思うと、なんだか申し訳なくなってきた。
「大将、皆を集めてきたぜ」
「え?皆って――」
左から数えて、1、2、3、4、5。薬研を入れても5人。5人?――5人!!??
どどどうしてだろう!?これでも2年前に本丸を飛び出すまでは、殆どの刀剣男子を迎え入れていたはずなのに!?
それが5人?全員で5人?何かの間違いじゃないだろうか!?私は薄明りの中、薬研を抜かして残り4人の顔を見た。
――初期刀の加州清光。へし切長谷部。明石国行。今剣。
皆の私を見る目が、どこかしら疲れた、と言うかやつれた感じがする。
それでも長谷部は両目を潤ませて私の足元に跪いた。
「主、再び生きてお姿を拝見出来る日がこようとは……この長谷部、もう思い残すことはありません!」
「いや思い残せよ長谷部。もっとイイコトして死のうぜ?」
「あるじさま、ほんとうにあるじさまなんですか?」