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出戻りド外道審神者物語

第1章 放置プレイはほどほどに


 長谷部の肩に乗せていた朔夜の手を取って、今剣が嬉しそうに頬ずりをした。
 だがその肌の冷たさに、朔夜は背筋がぞくっとした。

 体温をほとんど感じない。生きている感じが全くしない。刀剣男子だから、とかではない。死にかけているんだ。
 試しに清光の手を取ると、同じように冷たかった。

「ねえ、他の子はどうしたの!?まさか死んだなんてことないよね!?」
「死んでる……かもしれない。市井に出稼ぎに行った連中もいるけど、行方知れずも多い」
「そんな……」

 清光の言葉に、朔夜はショックで肩を落とした。
 まさか2年の間に本丸が……皆がこんなことになっているなんて夢にも思わなかった。
 それなのに私は、自分の事だけを考えて、こんな、こんな――

「よし!決めた、私この本丸を立て直す!」
「それって……」
「この本丸に戻ってくるって事か!?」
「うん!!」

 朔夜がそう言うと、薄暗い中でも皆の顔に笑顔が戻ったのが分かった。
 人生に大切なのは堅実な道ではなく、自分を必要としてくれる仲間なのだと、朔夜は漸く理解した。
 ――が、しかし!!

「その前に、家に戻ってゲーム機一式持ってくるわ!!」
「はあっ!!??」
「大丈夫、大丈夫。皆この2年間生き延びられたんだから、あと2時間足らずどーって事ないって!じゃ、いってきまーす!!」

 そう言って、朔夜は颯爽と本丸を去っていった。
 こうして、出戻りド外道審神者の新たな本丸生活が、幕を開けようとしていた。
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