第2章 いい湯だな、あははん
「ところで皆さん、房中術というのは御存じですか?」
「あ~、知っとるで。つまりは男と女がセック――」
「おーっと!今剣ちゃんがいるからそこまでーー!!」
明石の言葉を、朔夜は急いでかき消した。危ないところだった。今剣ちゃんはもちろん、薬研というお年頃の少年も居るというのに、何を考えているんだこのエロ眼鏡は。
まあ清光はこの手の話題で狼狽える性格じゃないから大丈夫だと思うし、長谷部も一応知識としてはあるんだろう、顔を赤くしながら妙な咳払いをしている。
――って、問題はそこじゃない。
「で、いきなりなんでそんな話題?」
「つまりはですね、皆さんの霊力を一気に回復する最も早い方法なんですよ」
「へ~、なんや自分めっちゃ興味出て来はりましたわ」
「つまり、審神者は刀剣男子にとって霊力の塊。その気を分けてもらえば霊力も一気に回復するという話なんです」
「すいません、どこかのゲームみたいに唾液だけで回復しないんですか?」
「しますよ。ただこれが一番手っ取り早いというだけです。他にも重ねる素肌の面積が多ければ多いほど、霊力の回復が早いです」
くっ、本当にどこかで聞いた事のある設定だな!……だけど、この惨状を招いたのは紛れもなく朔夜本人だ。
今剣ちゃんの身体は氷の様に冷たいし、薬研は痩せ細ってるし。他の刀剣達だって不健康極まりない状態だ。
でも!!だからと言って6Pは無理だよ6Pは!!だいたい薬研はまだしも今剣ちゃんに手を出したらこっちがお巡りさんに捕まるよ!
「でもメシ食べてれば回復するんでしょ?それで良いんじゃないの?」
よく言った清光、素晴らしい清光。流石初期刀なだけある。
朔夜は清光に対して思わず親指をグッと上げた。だが、そんな清光の提案にこんのすけは少しため息を吐きつつ、こう答えた。
「まあ今夜は売る着物があったから食事にありつけたものの、付喪神である刀剣男子だけでなく生身の体を持つ主様が、はたして明日の食事も知れぬこの本丸の生活に耐えきれるかどうか……」
「耐えます、頑張ります、なんなら雑草でも食べて凌ぎます。お願いですから6Pは勘弁してください!」
「まあそこまで言うなら、今夜はこの方法で行きましょう」
こんのすけが折衷案として出した、その方法とは――!?