第2章 稲荷崎高校 入学
それからバスに揺られ学校近くのバス停で降りるとあっという間に校門が見えて来た。
校舎に入ったら信ちゃんとは別々かぁ…
信ちゃんと同じ学年だったら良かったのに…。
それまでのフワフワした気分から一転、急に不安が押し寄せてくる
校門を過ぎたあたりから生徒の数も一気に増え、内心落ち着かないでいると
「そう言えば、入学式の新入生代表で挨拶するんやろ?
挨拶文考えてきたんか?」
『あー…考えたっていうか、前年度の挨拶文を参考にさせてもらったから…。
ほとんど同じ様な感じにしちゃった。』
「ええんちゃう?それにしてもが勉強得意なんは知っとったけど、首席合格って聞いた時はホンマびっくりしたわ。
毎日受験勉強頑張ってたもんな?」
『それは私も驚いたよ。・・・でも新入生代表はやりたくなかった…。』
入学式では毎年恒例、新入生代表の挨拶は首席合格者と決まっているらしい。
カンペがあるとは言え大勢の前に立つのは苦手だし出来る事なら辞退したかった。
はぁ〜…と息を吐きガクッと肩を落とす
すると
「背中丸めんと胸張ったらええ。
誰よりもが良い成績取ったんやから堂々と挨拶したらええよ。」
真っ直ぐな瞳が私を映す
こんな風に出会った時から信ちゃんは真っ直ぐな人だった。
これまで何度も励ましてもらったし、不思議と信ちゃんの言葉を聞くと前を向けた。
『・・・うん、そうだね。』
堂々と、出来るか分からないけど任されたからには頑張ろう…!
背筋をビシッと伸ばすと信ちゃんは満足そうに笑った。