第6章 片思い
『ーーーもしもの話しだけど…治君に好きな人がいたとして……』
「なっ、、何っ⁇⁇」
キーーーッ
急ブレーキが掛かり高い音が鳴った
『うわっ、、、びっくりした…』
「すまん!大丈夫か⁈」
『大丈夫、私がいきなり変なこと聞いたから…ごめんね?』
「いや、、別に変なことちゃうけど・・・・
で?好きな人がいたら、やったっけ?」
『う、うん…。
治君はモテるから経験ないかもしれないけど…
もし片思いの相手に好きな人、とか彼女がいたら……どうやって諦める?」
「・・・・それって諦めなあかんの?」
少しの間を空け、治君が答えた
『だって…手が届かない人を想い続けるのって辛い…と思うから。』
「せやなぁ…しんどいな。しんどいかもしれんけど俺やったら諦めるとかはないな。」
『・・随分キッパリと言うね…』
「当たり前やん。何もせんと諦められるぐらいならそれまでの気持ちやったって事ちゃう?
手が届かへんなら手届くまで俺は粘ったる。そんでもダメな時はーーーー」
『ダメな時は、、、?』
治君は片足を地面に付け、くるりと振り向くと
「諦めつくまで想い続ける。それしかないわ。」
眩しいくらいの爽やかな笑顔に心臓がキュッとなった
いつも気怠げな顔つきばかり見ているせいか、笑顔の破壊力が凄い…
この笑顔を見せられて落ちない女の子はいないだろうな、と心の中で思う。