第6章 片思い
夏祭りから数日が経ちーーー
今日も暇を持て余していた私は午後から図書館へと出掛けていた
涼しいし静かだし何より本に囲まれて落ち着くからここ最近は毎日のように通っている
夏休みも気付けば後半に差し掛かり、この夏の思い出といったら信ちゃんと行けた夏祭りぐらいだ。
(宮侑がいたのは予想外だったけど)
忙しい中でも私との時間を作ってくれた信ちゃんはやっぱり優しくて…
ほんの数分、もしかしたら数秒だったのかもしれないけど、信ちゃんと手を繋いだ感触は今でも鮮明に覚えてる
ーーーーやばい、思い出すだけで顔がニヤけてくる…
緩む口元を抑えようと片方の頬をギュッと抓ると、斜め向かいに座っていた小学生と目が合ってしまった。
「・・・・。」
変な人でも見るかのような冷たい視線を向けられ、咄嗟に本で顔を隠す
ここ、図書館だった、、、
コホッと咳払いをし、何事もなかったかのように本を開く
次はいつ信ちゃんに会えるかな…
そんな事を考えつつも、いつの間にか意識は本の世界観へと引き込まれーーー
気付けば閉館のアナウンスが流れてきた
ーーーもうそんな時間?
どうりでお腹も空くわけだ。
窓の外に視線を向けるとすでに陽が落ち薄暗くなっている
館内に残っていたのはほんの数人で慌てて片付けて外に出た