第5章 夏休み
頬に落ちた氷は水滴になり首筋へと流れる
ただそれだけやのにーーーー
化粧っ気のない素肌のせいか、ほんのり漂うシャンプーの香りのせいなのか
不覚にも心臓がドキ、と音を立てた
ーーーーーいやいや、何やドキって‼︎
相手はメガネやぞ⁈ないないない‼︎‼︎‼︎
スプーンをカップに戻し、空いた手の甲で乱暴に水滴を拭き取ってやる
『ちょっ、、自分で拭くからっ!』
「ハイハイ、もう拭けました〜」
ムスッと眉を顰めるメガネは放っておき、ベンチの端の方へと座り直す
ちょっとからかうつもりやったのに変な空気になってもうたやんか‼︎
北さん、まだやろか…。
「・・・・。」
『・・・・。』
メガネから話し掛けてくる事はないから俺が喋らな自然と無言は続く。
普段ならいくらでも調子の良いセリフが口から出てくんのに、、、
腹の奥んとこがざわざわして今はおちゃらける気分にならなかった
ーーーーかき氷のせいや。
カップに視線を落とし、そういう事にしておく。
結局溶けてジュースのようになったかき氷は自分の腹に収めた