第14章 秋、深まる
長いようで短い夏休みが終わり、捻挫した足もようやく良くなった頃。
カラリと晴れた空の下、私達はで屋上でお弁当を広げていた
「2人は付き合うと思ってたわ〜。治君、想い通じて良かったなぁ!」
「うす。て言うても最終的に俺が丸めこんだ感じなんすけどね。」
『ま、丸め込むって!そんな事ないよ⁇治君ならって思って決めたのは私だし。』
「だって〜⁇良かったなぁ‼︎この色男っ‼︎」
ニヤけた顔の野崎さんが治君の肩を小突ついた
「・・・先輩、さっきから痛いっす」
「フフッ、耳赤くなってんで〜?治君にもこういう一面あるんやなぁ!なんか新鮮やわぁ。」
押され気味の治君の姿が可愛いくみえて思わずフッと吹き出すと、治君と目が合った
垂れ気味の目が優しく細まる
あの日、付き合い始めてから治君とは毎日連絡を取り合っている
クラスも違うし治君は部活が忙しいからなかなか会える時間は少ないけど、こうして昼を一緒に食べたり、バレー部が終わるまで図書室で時間を潰して一緒に帰ったり。
お付き合いは順調に進んでる、と思う。
・・・多分治君が私のペースに合わせてくれてるのだろうけど。
「でもちゃん大丈夫なん?治ファンから何かされたりしてへん?」
『大丈夫ですよ、多分私なんかが隣にいても付き合ってると思われないんで。』
「いやいや、こうして2人が並んでるとこ見とるとめっちゃお似合いやって!ちゃん自己評価低すぎちゃう?
モテ男の彼女になったんやからもっと自信持ってええって‼︎」
野崎さんにコツンとオデコを弾かれ『はぁ…』と額を摩りながら頷く
「せやけど先輩、俺らの事周りにベラベラ喋らんとってくださいね?
に何かあっても困るんで。」
「はいはい、分かってます〜。てか私そんな口軽くないし。」
フンッと鼻を鳴らす野崎さんに治君は疑わしげな視線を送っている
「あ、話変わるけど侑君て最近ちょっと雰囲気変わったと思わん?」
「・・・ツムが?」
私と治君は目を合わせ首を捻る
「ほら、侑君て来るもの拒まずで彼女…というかガールフレンド的な子が何人かいたのは知っての通りやけど。
それ、全部切ったらしいやん。」
『え?あの宮侑が、、、⁇』