第10章 2回目の春
そこまで深く考えなかった…。
少し考えれば安易に想像がつくのに。
治君も私と同じ事を思ったのかお互い顔を見合わせ渋々頷く
「せやな。今回は敵同士やしやめとこか?」
『そうだね…。せっかく気遣ってくれたのにごめんね?』
「ええって。当日見に行くさかい、楽しみにしとるで?」
ニカッと白い歯を見せて笑う治君。
そしてそんなやり取りをしていると、それまで静観していた銀島君が初めて口を開いた
「それなら角名と侑は同じクラスなんやし2人が教えればええんちゃう?」
『・・・確かに』「ほんまやな!」
納得する私と黒沢さんとは裏腹に、治君と角名君の表情はあまり冴えないものだった。
けれどその何気ない一言がキッカケとなり、翌日からバレーボールの特訓が始まったのだった。