第9章 初恋のおわり
4時限目が終わりチャイムが鳴ってすぐーーー
ん?
ポケットからスマホを取り出すと
"今から屋上に集合‼︎"
簡素なひと文とヘンテコなスタンプにフッと頬が緩む
"了解です"
と返信を打ち再びスマホをポケットにしまう。
鞄からお弁当を取り出し教室を出て行こうとすると
「何や、また先輩から呼び出しか?」
治君に声を掛けられた
『うん、屋上行ってくる。』
「すっかり仲良しやなぁ。たまには俺も仲間入れてーや。」
『え?じゃあ一緒に行く?治君なら野崎さんも大歓迎なんじゃないかな?』
治君は少しだけ考える素振りを見せるも、すぐに眉を寄せ首を横に振った。
「・・・・いや、やめとく。あの人色々突っ込んだ話ししてきよるし。飯ゆっくり食えなそうやから。」
『あー…うん、それは少しわかるかも…。』
「せやろ?
てかちゃんとチャイム鳴ったら戻ってくるんやで?」
『うん、分かってる。じゃ行ってくるね。』
「おん。」
そのまま足早に野崎さんの待つ屋上へと向かう
失恋同盟を結んだあの日から、野崎さんとはこうして屋上で話したり、部活がオフの時はお茶したりしている
初めて出来た女友達に内心嬉しくて堪らなかった
そんなキラキラした女友達、野崎さんに「携帯を持て」と言われ続けること2ヶ月弱。
お年玉も入った事もあり、高一の終わりにして初めてスマホを手にした。
連絡先を交換したのは野崎さんと治君と信ちゃんの3人だけだけど私にはそれで充分、世界が広がった感じがした。
家族以外の誰かと繋がる
私にとって、これは大きな変化だったから。