第8章 雨の後…
「・・・・・あかん。」
自分で外しておきながらすぐに後悔が襲う
薄く開いた唇から漏れる吐息と蒸気した頬はかなりの破壊力で…
やばいな、コレ、、、。
ただでさえ脆い俺の理性は崩れそうになる
すぐ目の前には普段ガッチガチに壁を作り近寄るなオーラを放つメガネのあまりに無防備な姿。
この女から色気なんて1ミリも感じた事なんてないのに、何故か心臓がバクバクと早鐘を打っている
あかん、あかんで侑。
相手はあのメガネやで⁇しかも病人や。
寝込みなんて襲ったら後で半殺し、、、いや締め殺されるで、、、
手なんて出せるわけない。
いや、そもそもメガネ相手に出すわけないやん‼︎
そう自分に言い聞かせているとーーーー
『しん、、ちゃん、、、』
「・・・ん?」
今の寝言……やんな?
しんちゃんって…
北さんの事か…?
そういやさっきも何か寝言いうてたけど、、、
熱くなっていた体がスーッと冷えいく。
「あー、そうか………。」
そういう事や。
こんな時ですら名前が出るほど北さんが好きなんやな……
そんなん夏祭りに会った時から分かっとったけどーーー。
腹の奥から悶々とした気持ちが湧き上がる
「クソ、、、何やこれ、、、」
訳の分からん感情に苛立ち、ガシガシと頭を掻く
こんなんまるで俺がメガネに気があるみたいやないか…‼︎
そんなんあり得へん‼︎あってたまるかっ‼︎‼︎
絶対にーーーーー、、、、
『ーーーー』
チラリとメガネに目を向けると、うなされてるのかまた何か寝言を言っていて、、、咄嗟に目を逸らした
「先生っ、呼んでくるさかい…。」
まるで誰かに言い訳するように呟き立ち上がる
ーーー聞きたなかった
あいつの口から他の男の名前が出てくるのを。
大雑把に布団を掛けてやるとそのまま逃げるようにして部屋を出た