• テキストサイズ

凪の海 時化の海

第2章 偶然か運命か


『Z町』営業初日、凛帆はレンタカーを借りた。

(えっと、もうすぐ着くかな?)

ナビに従って『手代木家』の前に車を停めた。


呼び鈴を押すとすぐに義母が出てきた。

「まあまあ、忙しいところ寄ってくれてありがとうね。」

「おぅ、よく来たな。」

二人とも『挨拶』で訪問した先日よりもラフな格好だった。

「これ、新製品のお菓子です。」

「もう―――気を遣わないでって言ったのに。でも、ありかたくいただくわ、こないだのも美味しかったわあ。」

「母さんほとんど一人で食ってしまって、今日のは儂にももっと食わしてくれ。」

「フフ、どうしようかしらねえ〜」


(本当に楽しいご夫婦。私と脩二さんもこんな風になれるといいなあ。)

凛帆は頬を緩ませた後、腕時計を見た。

「あ、すみません。アポイント……約束の時間なので今日はこれで失礼します。」

「今日はこれからどこを回るの?」

「WクリニックとX療養センターにY総合病院です。」

「忙しいな。気を付けて行きなさい。」

「お昼はウチに寄って食べたら?」

凛帆はそこまで甘えられないと、丁重にお断りした。


手代木家を後にして凛帆はぼんやり考えていた。

(今日もお義兄さんはお仕事なのかな………会いたかったのにな。)
/ 28ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp