第8章 芽生え
意識が戻った凛帆の目に飛び込んできたのは無機質な白い天井と心配そうな義母の顔だった。
「良かった!気がついたわね。」
「凛帆さん、ここがどこか分かる?」
脩二もいた。
「………え。あっ………脩…………」
まだぼんやりとした目で脩一の姿を探したが、見当たらなかった。
「もう〜〜だめじゃないの!大切な時に無理をしちゃ。」
義母が諌めてきたが表情は柔らかく緩んでいた。
「大切な………とき?」
「そうよ!2ヶ月ですって!おめでとう、凛帆ちゃん!」
「2ヶ月……………」
誰との子かははっきりしている。
凛帆の目は宙を泳いでいたが、義母は喜々として話し続けた。
「なあんにも気にしなくていいのよ?今の若い人たちは当たり前だって分かってますヨ、さっきね、お父さんにも電話して伝えたらもーう泣きださんばかりの喜びっぷりよ!」
「母さん、まだ凛帆は意識が戻ったばかりだからそのくらいに…………」
傍らの脩二が制した。
「ああら、ごめんなさいね。つい嬉しくって私ったら。脩二!もうすっかりパパだわね。」