第8章 芽生え
妊娠が分かった凛帆は営業の仕事から外されたのでZ町に行くこともなく、脩一との連絡も途絶えた。
義母からは時々凛帆の身体を気遣うのと初孫に嬉しさを隠しきれない電話があった。
「お父さんね、すぐに業者を呼んで家の前の砂利道直したのよ。凛帆さんと孫ちゃんか転ばない様にって。これまでも危ないから直す様にって何度私が言っても動かなかったのにね〜」
―――――あの日、凛帆がヒールの足をとられた砂利道。すべてはあの時から始まった。
(このままで……このままでいいの?)
悶々とするうちに日々は流れて――――――