第5章 逢瀬その5
「花柳さん、俺、別れたくない…」
「私もよ…」
「旦那さんと別れて俺と一緒に大阪まで来てくれない?」
その言葉は正にプロポーズであった。
美智は夫の龍一と別れる気はなかった。
「たけちゃん、それはできないわ…」
「やっぱりそうなんだね…俺とは遊びだったのか…」
「そ、そんなことは無いわよ…」
美智は慌ててそう返した。
そうは言ったものの大宮と一緒になろうとは思っていなかった。
自分はずるい人間だと思っていた。
罪悪感を感じずにはいられなかった。
こうして、二人の関係は終わったのである。
美智はまた寂しくなった。
そして、婚外恋愛へと走ってゆくのであった。