第5章 逢瀬その5
美智は最近、自宅の近所にあるダイニングバー“善”によく来ていた。
このダイニングバーの店内はとてもお洒落で雰囲気も良かった。
女性ひとりでも気軽に入れるお店である。
事実、ほとんどが女性客であった。
ここの店はランチもやっていた。
ランチメニューのカレーは大変美味しいと評判であった。
店のオーナーはとても親切でオーナーの息子はイケメン男子である。
美智はそんなオーナーの息子、徳村直樹に会いに飲みに来ていたのである。
この善は親子で経営しているダイニングバーであった。
美智はこの店の常連、大宮武史と親しくなっていた。
大宮は毎晩のように善に来ていたのである。
そんな大宮から美智は飲んでいる時こう話し掛けられた。
「今日も会ったね?」
「そうね…」
「家、どこなの?」
「近所よ…」
「彼氏いるの?」
「夫がいるわ…」
「なんだ、結婚してるのか…」
「でも、セックスレスよ…」
ちょっと冷めた口調でそう言った。