第1章 逢瀬その1
そんなメールでのやり取りがあり美智は磯田と会うことになったのである。
◇
会う約束の日…。
美智はコンドームをバッグの中に入れていた。
最近の龍一は出張が多かった。
この日も出張で数日家を空けていた。
そんな龍一と会えない日々も美智は寂しいと思っていたのである。
美智は人肌が恋しいと感じていた。
この日は小雨が降っていて少し肌寒い日であった。
待ち合わせ場所は渋谷のモヤイ像の前だった。
夜の渋谷はかなり混んでいた。
モヤイ像の前も人でごった返していた。
美智は磯田を探した。
だが、それらしき人物は見つからなかった。
待ち合わせ場所を間違えたのかと思い、磯田に電話してみることにしたのだ。
美智はスマホを取り出すと磯田の番号を探した。
そして、タップして電話をかけた。
スマホの呼び出し音が鳴る。
「はい、もしもし…」
「花柳ですが…今どこにいますか?」
「今?花柳さんの真後ろにいるよ」
「え?真後ろですか?」