第1章 一粒、···雨
背後から、とんでもないプレッシャー。
それから···。
この声は···。
「夏油···くん!?」
本物の夏油傑がそこにいた。
「やぁ久しぶり。何もそんなに驚く事は無いだろう?うーん、でもそうだね。私の呪霊を可愛がってくれたようだから···どうだい?、家においでよ。しっかりおもてなししてあげるからさ」
「いや、ちょっと離して!」
グイッと腕を捻じ上げられて、痛みで額に眉を寄せた。
「ほらほらそんなに暴れないで。別に取って食おうって言うんじ無いんだ。それに、こんな雨の中でいつまでも雨に打たれていたら風をひいてしまうよ?」
グッと腕に力を入れて離れようとはしているけれど、びくともしない。逆に力で抑えられ手首にズキッと痛みが走った。
「言う事聞けない素直じゃ無い君も、私は好きだよ···」
「···ぁ」
項をコツンと指2本で触れられ瞬間、私の意識は暗転した。
何だかムズムズする。
くすぐった···気持ちいい···?
あったかい···。
ふわふわする意識の中、目が覚めれば見知らぬ天井が視界に入った。
「おはよう、気分はどう?」
「···?」
(え、何で夏油くんの声がするんだろう···?)