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シトロンの雨/夏油傑/R18

第1章 一粒、···雨



どうして私の前に夏油くんの姿で現れたのかは分からないけれど、穢れにより降りかかる呪いを祓うのみ。

「おいで、胡蝶···」

私は右手に付けている数珠の鈴を鳴らした。

リーンッ-···、と清らかな鈴の音色に合わせて、1匹の白い蝶がわたしの指先止まった。

「何だいそれはァ?そんな虫けらで私を殺せるとでも思っているのかい?」

「夏油くんの姿で嫌な笑い方しないで」

夏油くんはそんなふうに笑わない。
私は右手を呪霊に向けて胡蝶を差し出した。

「行っておいで、胡蝶」

ひらりひらり···。
真っ白いキラキラ輝く鱗粉を飛ばしながら、胡蝶は私達の真上へと上がって行く。

「は、ただの約立たずじゃないか。所詮は蟲···何っ!」

「···白銀の滴(矢)」

私が腕を振るうと同時に、胡蝶が舞い上がった空から白銀の滴が呪霊に降り注ぐ。

「ぎゃぁぁあぁっ!!!」

胡蝶のばら撒いた鱗粉が矢に変わり、次々と呪霊に降り注ぐ。
呪霊の断末魔がその場に響いた。
でもこれで終わりじゃない。

「··雨···!」

最後、トドメを誘うとしたその瞬間、私は背後ろからグイッと手首を引っ張られる形で後ろにぐらついた。

「あまり私の呪霊を虐めないで貰えるかい?」

─ゾクッ!
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