第2章 好き、だから
中3の夏―――
梅ちゃんと一緒に行くって約束していた夏祭り。
今の関係から変化が欲しくて、気持ちを伝えるって意気込んでいた。
でも、梅ちゃんは約束の時間に来なかった。
心配になって探しに走った時だった。
あーやっぱり私はこの子には勝てないんだ。
「ほらぁことは~~」
「うん」
梅ちゃんと並んで歩くことは。
ことはに、ヤキモチを焼いたってしょうがないっていつも思ってた。
ことはは、私にとって妹のような存在。
それは、梅ちゃんも同じ。
三人は同じ施設で育ったんだから…
でも、この日だけは私を優先して欲しかった。
約束の時間から30分くらい遅れてきた梅ちゃん。
「ごめん、遅くなって」
「…ううん、大丈夫」
「これ、に」
そう言いながら梅ちゃんは、私の頭に可愛い蝶のついた簪をつけてくれた。
本当なら、うれしいのに。
今は全く嬉しくなかった。
「…やめて!!」
梅ちゃんがくれた簪ーー。
それは、さっきことはにも―――
泣きたくないのに出てくる涙。
「…梅ちゃんの事大好きだった。
でも…今は大嫌い―――」
「っ!!」
これが梅ちゃんとの最後会話。
それからずっと梅ちゃんを避けて、高校の進学も二人には内緒で二人の目の前から姿を消した。
これが3年前の出来事―――