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【名探偵コナン】Redo*misty【降谷 零】

第2章 錯綜と交錯。


訪れたのは、モールに併設されているタイプの映画館だ。
観たかったものは、話題の4Dのホラー映画。
安室の知るの趣味ではなかった。

『ホラー映画大丈夫?私は観るのはじめてだけど!…たぶん』
「俺は大丈夫だ」
『はぁ…ドキドキする』

安室の生活といえば、常にスリル・ショック・サスペンスな日々のため恐怖を感じる事は少なかった。
観たがった張本人は、まるで猫が驚く時のように身体をビクっとさせている。
時折握られる手に、引っかかれる腕に、顔を寄せられる肩に…役得を感じていた安室だった。

映画を見終わった…というよりは、遊園地のアトラクションをひとつ乗り終えたかような、そんな疲労感をは滲ませている。

休憩がてら近くにあるカフェに入る。
安室はコーヒーにはミルクティーにチーズケーキを頼んだ。

『んー、零の作る方が美味しい。でも茶葉はここの方が好み』

ふいに出る言葉や行動ははおそらく潜在意識からで、本人が気づいていないのならあえて指摘する必要もない。
フォークにのせたチーズケーキを、安室の前に差し出された。

と再会した時の"パーソナルスペースがバグってる"と怪訝な表情で言われた事を引き合いに出せば、今がどれほど幸せなのかと思う。

カフェを出ると、日はすっかり暮れていた。
夕飯はモール内のレストランですませた。
帰りはが運転をすると言いだし、安室は運転席を譲った。
彼がこの席を任せる人物は、2人だけだ。

帰宅後は、昨日と同様にがお風呂の掃除をした。
2人ともお風呂をあがると、ビールで喉を潤して、ベッドを背にして隣合う。
明日はの初出勤。
2人揃ってポアロの早番で、仕事の話を交えつつゲームを楽しんだ。

明日の事を考えて、早々にベッドへ潜り込む。

自然と出される腕枕に、背を向けずに正面で横になる。
あまりにも楽しかった2日間が、とても名残惜しくて寂しさを感じた。
安室も同じ思いを抱えていた。

安室の胸に顔を押しつけて、背中に手を回した。

『今日だけ…』

なりの感情表現に答えるように、抱き寄せてから頭を撫でた。

『いいにおい』
「もな」
『確かに、同じにおいだ』

そんな会話を続けながら、寂しくも穏やかな眠りについた。
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