第2章 錯綜と交錯。
両手を合わせいただきます、と料理に手を伸ばす。
料理はおそらくひさしぶりだ。
あの日以来…料理などしていないし、食生活はなかなかなもの…。
『大丈夫?口に合う?』
心配になったけれど、箸のすすみ具合をみれば気に入ってもらえたようだ。
「毎食でも食べたいくらいだ、驚いた」
『そう、良かった!』
安心したように箸をすすめる。
今ある光景は、昨日の出来事からの棚ぼたでしかない事に気づけば、安室の胸に黒い影を落とさせた。
このままこの生活が続けばと、どうしても願ってしまう。
食事と後片付けを済ませれば、2人ともスウェットのままでゲームをはじめる。
お昼近くまで没頭していた。
一段落したところではゲームを落とした。
『楽しかった…。私、そろそろ帰るよ』
聞きたくない言葉とこなければいいと思っていた時間が訪れてしまった。
安室との関係は、これから同僚になる人、おまけで友達が良いところ。
「今日も…泊まっていけばいい」
願いは、すんなりと口をつく。
『え!良いの!?』
食い気味で返ってきた反応は、想像とは真逆のものだった。
「あ、あぁ、もちろん」
『えぇ…でもさすがに2泊は図々しいよね。他人がいても大丈夫な方なの?』
安室にとって、は他人ではない。
その一言を口にしてしまえば、この空間は維持されないかもしれない。
安室はまた言葉を飲み込んだ。
からすれば安室は他人だった。
ただの同僚になる人か、昨日で一気に近づいた距離を考えても友達。
惹かれ始めているとはいえ…。
共に過ごす時間の心地良さに、離れがたさがあった。
1人の寂しさに気づいたからなのか、相手が安室だからなのかは、まだわからない。
「たまには誰かと過ごすのもいい」
『それじゃお言葉に甘えて!』
そして安室は許容される範囲だろうと思い、ひとつだけ切り出した。
「、ちょっとこっちに」
立ち上がると、洋服箪笥の前に立った。
『どうしたの?』
「3段目と4段目を開けてみれば…分かる」
言われた通りに、3段目を開けてみた、