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【夏目友人帳】海底の三日月

第4章 お伽話の法則


「大変なところに来てしまった、と思っていますよね?家の中には他人が多く出入りするし、的場一門自体が多くの恨みや妬みの対象になっているし、その上婚約者が私のような者では、ここはここで君には厳しい場所かもしれませんね」

「姉に何か言われたんですか?」
「…あからさまに策略的な婚約なのに、お姉さんは私にあまり反感を持っていないようだったので不思議だったのですが、『叔父、叔母のところにおいておくよりはよっぽどマシ。一度結婚すれば未成年じゃなくなるから、あの子も少しは楽になるはず』だそうです。離婚前提で考えているんでしょうね」
「そんなことはないと思います。…姉はイタリア人だから離婚というのは恐ろしく面倒なものだと思っているはずです」
「…そうなんですか。そうだとしても、彼女はこうも言ってましたよ。『お伽話で3姉妹が出てくると、いつも末っ子が一番いい子で野獣や魔物に嫁いでいくのはいつも末っ子だけど、実際末っ子なんて一番ちゃっかり者で、現実では真ん中が一番気立てが良くて貧乏くじ引く役回りなんですよ』とも言っていましたから。まさに私は彼女にとって野獣で魔物で貧乏くじというわけですね」
「…それは、姉が私に宿題を手伝わせためにおだてる時の常套句なんです。」

「それに、お伽話の最後はね…」
左手で的場さんの手を取って自分の右手を彼の手の甲に重ねて言葉を続ける。
「女の子は、魔法の解けた王子様と末永く幸せに暮らしました、で終わるんですよ」
微笑みかけるとあからさまに「不可解だ」という顔をされた。
「魔法が解けるも何も私は素で非情な人間ですからどうしようもないですね。一応自覚はあるんですよ。直す気はありませんが」
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