-Short Dream Story Collection-
第2章 【黒子のバスケ リクエスト夢】五月雨の季節の出逢い 花宮真
「………」
飲み物を持って席へ戻ってくるとまた盛大なため息が耳に入る。
引き続き聞こえないフリをしながらカバンから本を取り出した。
こんな土砂降りの雨だからイライラする気持ちはわからなくはないけど…人に当たるのはやめてほしい。
声からしておそらく男の声に聞こえたが…会社員か、一休みしている中年にオジサンだろう。
こういう時は好きな本を読んで、雨が止むのを待ち適当に無視してあしらうのが1番…
しかし、本を開いた途端、今度は嫌な視線を感じる。
何か…じっと見られているような…
無視しようと思っていたけど、じっと見られていることに耐えきれなくなり…隣に座っている人に視線を移した。
「………」
相手は会社員でも中年のオジサンでもなく、学生だった。私をギロっと睨んでいてイライラしたような面持ちで頬杖をつきながら机をトントンと人差し指で叩いている。
「……あの…何か…?」
ずっとイラついたような面持ちで睨まれて机を叩く音に耐えきれなくなり、初対面の相手に話しかけた。
何か気に触るような事をした覚えはないけど…こんなに不機嫌そうにしているってことは何か…自分にも理由があるかと思った。
けど…相手から返ってきた返答は信じられない言葉だった。
「…気安く話しかけてくんじゃねえよ…馬鹿女。」