【WIND BREAKER:®️指定】My friend
第4章 ®️独り占め出来ない
「「あけましておめでとうございます。」」
除夜の鐘の音を聞きながら、いつきは父親と挨拶を交わす。
普段のお正月なら、このままゆっくり過ごすのだが、いつきは挨拶を終えると慌しく自分の部屋に向かう。
スマホを開いて、梅宮との待ち合わせの場所を確認する。
梅宮は約束通り、ほんの少しの時間をいつきの為にとってくれていた。
「本当に条じゃ無いのか?」
「…うん…、商店街の方の友達…。」
厚着をして、家から出ようとするいつきに、父親が声をかける。
中学生と言っても、この時間からの外出にはあまり良い顔をしていない様だ。
「……初詣したらすぐに帰ってくるよ…。」
ゆっくり出来るほど、梅宮が時間を取ってくれないのはいつき自身よく分かっていた。
心配そうな父親を残して外に出ると、白い息を吐いて飲屋街を見渡した。
チラホラ初詣に行く人で、意外に外は賑わっている。
そのまま商店街の方にむかい、梅宮の居る神社に歩いた。
神社に近付くにつれて、初詣の人が集まっている。
小さな神社は、もう鳥居の外まで列が出来ていて、お詣りするには既に時間がかかりそうだ。
梅宮は確か、この神社で手伝いをしていると言っていた。
いつきは人混みが多いのにも関わらず、スマホを出さなかった。
自信があったのだ。
どんな人混みでも、梅宮を見つけ出せると。
そして、いつきはやはりすぐに梅宮を見つける。
梅宮はスマホを出していて、いつきに連絡をしようとしている様だった。
「先輩。」
いつきがそう声をかけると、梅宮の顔がスマホからいつきに向かれる。