【WIND BREAKER:®️指定】My friend
第1章 ®️彼は何故堕ちたのか
「いつき、今日学校あるのぉ?」
2年生になったばかりの頃に、土曜日に制服を着ているいつきに、十亀が不思議そうな顔で聞いて来る。
今日は会う約束をしていただろうか。
別に約束なんかしてなくても、十亀はこうしてフラッといつきの家に来る事がある。
「今日は水やり当番だから。」
「ふーん……園芸部も大変なんだねぇ…。」
せっかく来たのにいつきが出掛けるのが残念なのか、十亀は少しガッカリした顔をする。
「……水やりしたら、すぐ戻って来るよ。」
「じゃあ、モンハン続きやってていい?」
自分の家にswitchがないからか、十亀はよくゲームをやりにいつきの家に来る。
いつきはそれを了承すると、自転車に乗って土曜日の学校に向かう。
そのいつきの背後を見送って、十亀もまたいつきの実家である酒屋の中に入っていく。
「また来たのか…。」
「お邪魔しまーす。」
よく見る十亀に呆れた様にいつきの父親は言った。
それも当たり前の光景なので、十亀は気にしないでレジの奥にある住居に向かう。
「おい!ゲームやるなら居間でやれよ!!」
「…分かってるってぇ…。」
中学に上がった頃から、いつきの部屋で2人で居るのを禁止されている。
十亀は店に1番近い居間までswitchを持って来ると、そこでゲームをやり始める。
その場所が1番いつきの父親の目が届くところだからだ。
十亀といつきは所謂『幼馴染』と言うやつだった。