【WIND BREAKER:®️指定】My friend
第1章 ®️彼は何故堕ちたのか
ここで、悲しい顔をする条に腹が立った。
その表情をするのは、条では無く私のはずだ。
ギシギシとベットが軋む音と、お互いの荒い息が部屋に響いた。
外から聞こえて来るお囃子の曲。
毎年聞いているのに、楽曲の名前が出てこない。
その曲のリズムとは合わない動きの条に、彼の腕に爪を立てた。
「いつき……もう出そう……。」
快楽に飲まれた条の顔は、今まで見たどの表情よりも『男』を感じた。
その空気に当てられた様に、私の背中が条の動きに合わせて大きく反った。
離れる私の体を抱きしめて、条はそのまま私の中で果てた。
ああ……梅宮先輩…。
私はその瞬間に、他の男を思い浮かべる。
条と離れて通った中学校で出会った梅宮一。
彼が私に向けた笑顔を思い出しながら、条がもたれてくる体を重みに目を閉じた。
条はー。
この男は、私が誰を好きかもう知っている。
その初恋の芽を自分勝手に積んだ目の前の男に、涙が出た。
その涙すら、条の唇で拭われると、もう全てが条の手の中にある様だった。
「…… いつき…、梅宮じゃなくて俺を選んでよ……。」
今更懇願してくる条のキスを、顔を晒して拒否した。
条は私の顔を掴むと、無理矢理自分の方に顔を向けてキスの続きをする。
イッたばかりの条の舌は熱くて、その情欲はまだ消えていない様だった。
最初から話すなら、私のファーストキスの相手は間違い無く条だった。
だけど初めて好きになった男は、梅宮先輩だった。
条は私の初恋が梅宮先輩である事を許さない。