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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第17章 約束



あの日、海に行ってから1日1日が早くて。
気が付けば、明日が夏祭り。

自室のカレンダーに×を付けて気持ちが沈む私。

あれからはじめとは会っていない‥というより、会えなくなっていたが正しい。

海に行った日の翌日、

"少し立て込んでるから、暫く会えない"と、連絡があった。

お店周辺には、毎日杉下くん達の姿。
はじめの配慮だろう。
色々、限界が近い事が分かる。

私とはじめの選択は、皆には伝えていない。
‥薄々、勘付かれてはいるだろうが。

皆は何も言わずに普段通り接してくれて、ありがたかった。

明日は、椿が迎えに来る。浴衣の着付けと、メイク、ヘアセットをしてくれると言っていた。

クローゼットを開けて、奥底にしまっていた浴衣を引っ張り出す。

高校生になった時に奮発して買ったお気に入り。白地に、はじめの瞳の色と同じ淡いブルーの花模様が入った浴衣で帯も瞳と同じ色。お店で見つけた時、一目で気に入って迷いなく購入した。

初めて着た時に、俺の目と同じ色!と嬉しそうにしていたはじめの顔が浮かぶ。

‥それから毎年、着るのが楽しみだった。
ハンガーに掛けた浴衣の裾を手に取って微笑む。

笑顔を思い出す度に涙が込み上げてしまって。
視界がぼやける。

「‥泣いちゃダメ‥泣くな、私。」

そう自分に必死に言い聞かせて、上を向いた。

明日も、その先も。笑顔で過ごす。

これ以上、はじめを苦しめたくない。

はじめの夢が叶うまで、信じて待つ。

‥はじめからの告白を受けた時にそう決めたんだから。
























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