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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第14章 稽古と嫉妬



「‥柊といつの間にそんな仲良くなったの?」

不機嫌そうな顔で私を見下ろすはじめ。突然押し倒された私は、質問の意味とはじめの不機嫌の理由が分からず困惑していた。

「仲良くって‥?いつも通り稽古して貰っただけだよ?」
「‥本当に?」

***

ー事の始まりは1時間前。

私は、柊に公園で護身術と体術の稽古をして貰っていた。毎週お店の定休日に柊が学校から帰って来る時間に合わせて、この公園で指導を受けている私。

今まではじめに内緒で稽古していたが、既にバレていた上に目の前で実戦してしまった為、はじめも渋々ながら稽古を続ける事を了承してくれていた。相手が柊だからというのもあり、稽古に関しては口出しして来なかった。

‥不満は色々あるみたいだけれど。

そもそも、何ではじめを頼らず柊に指導をお願いしたのかと言うと。ケンカが強く、戦闘慣れしているから指導を受けるなら良き人材のはじめ‥なのだが。アシスタントにはかなり不向き。

以前、はじめと柊のやり取りを聞いた事があって。

はじめ「いや、だから〜!こう‥ダーッと行ってバーンだ!!」
柊「ハァ??いや、だから分かんねーよ!!」

‥ずっとこんな調子で不安しかなかったから私は、柊にお願いしたのだ。

柊 登馬(ひいらぎ とうま)

はじめと同じく風鈴高校の3年生で、ボウフウリン四天王の筆頭を務めている。戦闘力に優れていて、強さはお墨付き。はじめの片腕で、良き理解者でもある。大らかなはじめに四六時中振り回されている為、ストレスから来る胃痛になり‥常に胃薬を常備している苦労人。

柊とは中学生の頃に何度か会った事があった。その頃はあまり会話もしなかったが、高校に入ってからはじめがお店に連れて来るようになった事をきっかけに仲良くなり、はじめが1番信頼を寄せている相手だからと安心して、今では色々お世話になっている。

この日も、いつも通り稽古をしていた。

「‥そうだ。で、後ろから襲われた場合は‥」

組み手の練習。

「こう?」

言われた通りに身体を動かす。

「もう少し重心は前だ」

そう言われて身体を動かした瞬間、バランスを崩してふらついた私。

「陽丘!!」
「きゃ‥!」

地面にぶつかる寸前に柊に抱き止められ、そのまま一緒に倒れた。私の下敷きになったまま慌てて顔を覗き込んでくる柊。

「‥大丈夫か?!」
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