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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第17章 約束



ケーキを見た事で、ようやく何か決心がついた様な顔で私に向き合うはじめ。

「ひまり。」
「‥何?」

「実はさ、誕生日のプレゼント‥何がいいか決まらなくて。今年は用意出来てないんだ。」
「うん。」


両手を顔の前で合わせて、頭を下げるはじめに気にしなくていいよ?と、笑う私。

私の表情にはじめは一瞬、下を向いて息を吐くと顔を上げてこう言った。

「だからさ、代わりに‥約束する事にした。」
「‥約束?」

首を傾げた、私の身体が不意に抱きしめられる。

「うん。‥全部、終わったら‥今までの分と、俺のこれから先の時間を全部ひまりにあげるって、約束する。」

すぐ耳元で聞こえる、はじめの優しい声。
嘘のない真剣で真っ直ぐな言葉に私の目から涙が溢れた。

本当に‥君は。

「‥最高のプレゼントだよ、もう‥!」

泣き笑いの私。
嬉しくて、はじめの胸を叩いた。

「‥そっか!最高か〜!何か嬉しいな!!」

嬉しそうに笑って、抱きしめる力を強めるはじめ。

「ありがとう、はじめ。」

私もはじめの背中に腕を回して、はじめの身体を抱きしめた。

「‥ねぇ、はじめ。」

私にも‥約束してくれる?

「‥ん?」
「あのね‥」

ーはじめの耳元で私が囁いた言葉。

"‥私のこれからも、初めても、全部はじめが‥貰ってくれる?"

「‥え‥っと‥、それって‥」

見上げると、はじめは耳まで真っ赤になっていて。

「‥私の全部も、はじめにあげるね。」

だから。
全てが終わるまでは‥今日で、さよなら。
今までの幼い恋は大人への‥未来の恋への約束に変わった。

お互いに身体を離して笑顔で見つめ合う、私達2人の熱気で溶け始めるケーキ。

「‥そろそろ、食べようか?」
「‥ああ。」

ケーキに乗った蝋燭に火を灯し、私は部屋の照明を落とした。

「「せーの!」」

2人で蝋燭の火を吹き消した後、部屋に訪れる静寂。

カーテンの開いた窓から月明かりの優しい光が差し込み、照らされた私達の影が床に伸びていた。

‥唇を重ねて抱き合う私とはじめの影。

その後、食べたケーキは涙でしょっぱくて。
食べた後は眠くなるまでずっと話をして過ごしていた。

それから何時間経ったのか、睡魔が襲い来る頃に。

‥私達は抱きしめ合いながら眠りについた。















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