第10章 千尋
僕らは、時計が10時を告げるオルゴールのメロディを聞きながら抱き合っていた。
そのオルゴールの音色は優しく僕らを包んでくれた。
もうここまで来てしまったのだ。
後には引けなかった。
千尋も僕の事を想ってくれている。
僕も千尋の事が好きなのだ。
これから行われるであろう事を僕は考えた。
でも、それはお互い想い合っているならば普通の行為だと思った。
もうこの時、僕は千尋を妹だとは感じていなかった。
普通の1人の女性だと思ったのだ。
「千尋、ベッドに行かないか?」
「うん、いいよ…」
千尋は上目遣いで小さく頷く。
その頷き方が可愛らしかった。
僕は千尋の肩を抱きながら千尋の部屋のベッドへと向かった。
僕の部屋は何となく散らかっていて少し汚かったからだ。
千尋の部屋はとても整理整頓されていて綺麗だった。
ベッドにはちゃんとベッドカバーが掛けられている。
僕は、そのベッドカバーを外していった。
ベッドに掛けてある羽毛布団も捲りあげた。
千尋をベッドに座らせる。
「お兄ちゃん、わ、私、は、初めてなの…」