第8章 彼女
僕は心の底から喜びを感じていたのだ。
まゆみとなら上手くやっていけそうな気がした。
これで、千尋の事を諦めることができるだろうと思っていた。
千尋は血の繋がった妹なのだ。
恋人同士にはなれない。
僕は自分に言い聞かせた。
これで良かったのだと。
僕らは趣味についても話した。
何故だか、お互い趣味が合うのだ。
僕は映画を観るのが趣味だった。
まゆみも映画を観るのが好きだということが分かった。
映画の話で僕たちは盛り上がった。
まゆみは古い映画も好きなようだった。
特に、ビリー・ワイルダー監督のコメディ映画が好きだと言っていた。
“お熱いのがお好き”や“あなただけ今晩は”などが好きなようだった。
若き日のマリリン・モンローのファンだった。
僕も古い映画はたまに観ていた。
彼女ほどではないけれど。
それでも、話は盛り上がったのだ。
僕たちはその後、高島屋でウィンドショッピングなどをして愉しんだ。
秋の夕暮れは早い。
気が付くと外はしっとりと暗闇に包まれていた。