第8章 彼女
季節はあのバカみたいな暑い夏から涼しい秋へと移ろっていた。
ようやく女性は肌の露出をするような服装ではなくなってきた。
僕は内心ホッとしていたのだ。
千尋の服装も夏物から秋物へと変わっていった。
肌の露出が少なくなると僕の気持ちも何となく落ち着くのだった。
僕はあの雷雨があった夜のことを考えていた。
このままではいけない。
千尋とは血の繋がった兄妹なのだ。
僕は千尋を諦めようと思い始めた。
真剣に彼女を探そうと思ったのだ。
だが、そう簡単に彼女などできるのだろうか。
そうも感じていた。
そもそも、どうやって彼女を探せば良いのかも分からなかったのだ。
そこで、また悪友の誠に相談してみることにした。
仕事の昼休みの休憩の時だった。
「誠さ、僕、彼女を探そうと思うんだけど、どうやって探せばいいと思う?」
「え?千尋ちゃんの事は諦めたのか?」
「え?うん、やはり兄妹だし、どうしても一線は越えられないよ」
「だぁかぁらぁ、考えすぎなんだよ。お前は。近親相姦なんて日常なんだから」
その言葉を聞くとどうしても信じられなかった。
誠と灯里の関係も未だに信じられないでいる僕だった。