第14章 day10 物間寧人
約束の時間
コンコンとノックする音が聞こえて
お部屋の中に物間くんを招き入れる
金色のサラサラの髪
少し垂れ目がちな
淡いスカイブルーの透き通った瞳
黙っているとどこかの国の王子様みたいな物間くんだけど
そんな雰囲気を掻き消すように
いつものように高らかと笑いながらお部屋の中に入ってくる
それでも
赤く染まる耳と首筋
隠し切れない熱を感じてそっと手を握る
『有難う‥お待たせしてごめんね‥物間くん』
「っ‥いえっ‥本当に大丈夫ですから‥」
ぴくりと揺れた身体
熱くなる身体に乱れる吐息
他のみんなと同様
よくみるとうっすらと目の下にクマができていた
『有難う‥』
1度目に荼毘に攫われた時
お風呂で会った夜を思い出す
あれから
こんなになるまで
彼は我慢してくれた
表向きは爆豪くんたちに強い言葉を投げかける事もあるけれども
物間くんの優しいところを私はたくさん知っている
『本当に‥ありがとう』
そんな彼の身体をそっと抱き寄せると
さらに距離が近くなる
「そんなに何回もお礼言ってもらうような事は何もしてませんよ」
『そんな事ないよっ‥物間くんは優しいから』
「先生‥そんな風に触れられると、我慢‥出来なくなりますよ?」
強がるようにあがった口角
まだ我慢しようとしてくれているのが伝わってきて
耳元でそっと囁いた
『もう我慢しなくていいんだよ‥』
「っ‥なるほど‥‥これはA組も我慢が効かなくなるわけだ‥‥」
『んっ‥』
頭の後ろに回された手がぐっと2人の距離を縮めて
気付けば唇が重なり合っていた
『物間くんっ‥‥キス‥はっ‥‥』
「ダメ、なんて言いませんよね?」
一瞬唇が離れた隙に声を上げるけれど
すぐにまた唇が重なり合って
出そうとした声すら飲み込むような口付けに頭がクラクラしてくる
『んんっ‥‥』
力が抜けた身体を物間くんが支えて
ベッドの上にそっと降ろしてくれる
軋むベッドの音が静かな部屋に響いて
キスの続きが繰り返される
止めようと動かした手首を捕まえられて
シーツに縫い付けるように固定されてしまう