第2章 高校生
一方。
烏野側____
影山が及川の話をし、震え上がる一同。
そして及川が観戦している女の子に手を振ったところで不愉快だと騒ぎ出す田中。
コート内ではみんな汗をかいていた。
「菅原さん」
田中が小声で近づく。
「……何?」
「及川、なんかくるみのこと狙ってません?」
「……」
菅原は笑った。
「さあ?」
「いや絶対狙ってますって!」
「……そうかもな」
そう言って。
コートの向こうにいる及川を見る。
準備運動をして試合に出る気だ。
「くるみは渡さないよ。くるみも及川のことなんとも思って無さそうだし?」
俺がいちばんくるみの近くにいるんだ。
渡さないよ。
ちらりとくるみの方を見るとパチリと目が合う。
『どうしたの孝ちゃん?』
何も知らずに笑っている。
「……なんでもないから気にすんなー?それより頭と足気をつけろよ!」
菅原はくるみに笑い返す。
けれど。
胸の奥では。
――さっきまで。
あいつと手、繋いでたんだよな。
そんなことばかり考えていた。
そして。
自分でも認めたくないくらい。
そのことが。
嫌だった。
――この日。
及川徹は彼女に一目惚れした。
そして。
菅原孝支は初めて
「妹だから」という言葉だけでは片付けられない感情を、自覚し始めていた。