第6章 バスルーム
そう言うと二人はハグをして軽くキスをした。
「今夜はなに?」
「今日は和樹の好きなオムライスよ」
サチはそう言うと笑って見せた。
和樹は嬉しそうだった。
本当に和樹は子供が食べる料理が好きだったのだ。
普通、40歳も過ぎたら和食とか欲しくなるだろうに…と、サチは思っていた。
だが、和樹は一向に和食には余り興味を示さなかった。
でも、お酒のつまみになるとかなりうるさかったのだ。
和樹は毎晩晩酌をしなかった。
たまにしかお酒は飲まなかったのだ。
この日も普通に夕飯を食べた二人だった。
後片付けの洗い物は食洗器がしてくれる。
和樹はバスルームへと行きバスタブにお湯を張り始めた。
お湯の流れる音が部屋に響いてきた。
和樹は隠しておいたマットと大量のローションをバスルームへと運んだ。
マットは小さく丸めて送って来ていたのでサチには分からなかった。
サチは基本的に和樹宛てに送られてくる荷物を勝手に開けることはなかった。
“親しき中にも礼儀あり”という言葉があるようにサチもそうしていたのだ。
ローションは重たかったので玄関に置いたままだった。
中身をサチは知らなかった。
バスタブのお湯が張り終わったことを告げてきた。
「サチ、今日一緒に入らないか?」